Release.2023.11Macintosh & Illustrator との出会いが人生を変える。

 

 

0.3mmの線を書くことに、どれだけの時間を費やしてきたのだろう。

 

1989年、広告業界に足を踏み入れ34年。

世界史でしか学ぶことのなかった「技術革命」を目の当たりにするとは 当時の自分では考えも及びませんでした。

 

様々な家電が進化しても、「いいじゃん」程度にしか感じることもなく、

レコードがCDになっても「感動」することはありませんでした。

 

私が広告業界に入った頃、デザイナーとして新人が覚えなくてはならない様々な技術がある中で、

もっとも過酷だったのが「線引き」。 当時は「ロットリング」なるもので手書きで綺麗な線を描く。

 

大したことはないと思ったあなた。ぜひやってみてください。

インクが滲んだり、線幅が均等じゃなかったり、線がビビってたり、 始点と終点にインクだまりが出来ちゃったり、

線1つ書くことにどれだけ苦労したことか。曲線なんて論外です。

昔は、「カラス口」なんてものもあって、もっと大変だったようです。

 

そして、現れるんですよ。 「MAC」。 そして「Adobe Illustrator」。

ベジェ曲線で作り出す、美しい線。数値入力だけでなくマウスを活用して、多種多様に描ける描ける。

この感動は、今を生きる若者たちにはわからないでしょう。

 

そして私たちは、理解してしまう。「Mac & Illustrator」の可能性に。

 

広告業界、印刷業界に怒涛の技術革命が津波のようにやってきました。

デジタル技術が、アナログ技術を押し潰すが如く。

当時はイラストレータと同じようななソフトは、いくつかありました。 同じドロー系のアルダス・フリーハンド、編集ソフトのクオーク。

凄まじい勢いで業界専用ソフトが現れ、様々な印刷関連会社が倒産の危機に追い込まれていきました。

デジタル移行を余儀なくされる業界は、Macなくしては存在が危ぶまれるほどでした。

 

そして全てのソフトのいいところをバージョンアップしながらイラストレータが飲み込んでいきす。

あっという間に進化して、ついに時代の主流は「イラレ」となりました。

 

そしてマックも当然進化していきます。 私が当時使っていたマックは「Macintosh Ⅱ Ci」。

その後、クアドラ、Power Mac、G3、G4、G5と・・・。

 

昔はアホみたいに高価なんですよ「MAC」。

約30年前、一端の仕事をするために周辺機器も全て買い揃えればざっと「1千万」。

設備投資のために銀行に相談しましたが、何にも知らない担当者から一言。

「馬鹿じゃないんですか? そんなパソコンごときに。」

あの人、「今何してんのかな」と思ってしまいます。

 

DTPってなんだ!?

デスクトップ・プリプレスとはコンピュータを使って編集や印刷を行う出版作業のことをいいます。

とっても簡単に言えば、会社の会議で配る資料をパソコンでつくることも、

家でパソコンを使って 年賀状をつくることもDTPです。

 

ただし、商業印刷の場合、印刷会社に出稿前の行程をパソコンで行うことを意味します。

(デザイナー・ライターなどが使ってるときは、ほぼこの意味です)

だから、DTPは、DeskTop Prepress(デスクトップ・プリプレス/印刷の前)の略だと言う人もいます。

 

1995年ごろには「DTP」は完全に業界を掌握しちゃってました。

印刷前の「版下作業」もフル出力及びデータ入稿も可能に。

そうそう、ここで忘れてはいけないのが画像ソフトの件です。イラストレータの相棒とも言える「Adobe Photoshop」。

これまたすごいんですが、今回はイラレのお話なので、これはまたの機会にしましょう。

 

前項でもお話しした通り、あっという間に進化していったイラレ。

元を正せば、「社内開発用ドローソフト」が進化してきたようですね。誰でも、簡単に、を合言葉に。

 

パソコン使いには一生なれないと思っていた私が、「MAC使い」になれたのも、

スティーブ・ジョブズやジョン・ワーノックのおかげかもしれません。

 

 

 

利便性が向上すればこそ創造力にかける時間は倍増される。

 

どんなに想像力を働かせても、具現化できなかった時代を超えて、今や「何でも」と言っても良いくらい、具現化能力が向上している時代。

私たちクリエイターと呼ばれる職に携わるものが、考えなければならない次の「ステージ」こそ、「クリエイト-創造」への道だと思います。

 

 

技術に追われるのではなく、真なるクリエイターへと。

まだまだ先は長いですが、先人が与えてくれた「チャンス」をしっかりと「実」にしていきたいと思う、今日この頃なのです。

 

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